日記というか。

……まあ、日記です。同人向注意。

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花散らしの雨 2

原稿したくないでござる!(いきなりか)

なんか新刊出ない気がしてきた。いや~。金銭的な理由でなんですけど、イベントが給料日の前なので印刷できるかどうか分からないという……そんな状況でモチベーションが上がるわけねぇ~!
という訳で新刊出ないかもしれません!すみません!イベントには間に合わなくっても、給料日には刷れるようにはしたいんだけどね!通販オンリー的な感じになるのかな?よく分かりません!イベントにはこの前出したやつ持っていくかもしれません。
とりあえず、花格子外伝更新です。









与六はよく働く子供だった。
まだ禿の身分で、下働きしか任せて貰えなかったが、細々とした事によく気が付き、寝る間も惜しんで働いた。
「よく働くな。俺はお前が走っている所ばかり見かける」
「なに、これくらいの仕事、軽いものだよ」
そう言ってあはは、と笑ってみせる。俺は舌打ちした。
「その程度の仕事、まだまだ序の口だからな。お前は売られてきたのだぞ。この男遊郭に。だから、男に春を売る事になるんだぞ。それでも笑っていられるのか?」
与六は、一瞬言葉に詰まった。喉がひくついて、ヒュッと息が漏れた。しかし、それは一瞬の事だった。すぐにいつも通りの笑顔になって、莞爾と笑った。
「大丈夫だ。分かっている」
「本当に分かっているのか?」
「ああ」
屈託なく笑った与六の顔を見て、俺は吐き気がした。色の白い、唇がふっくらと紅い、綺麗な顔立ちだった。きっと人気の男娼になるだろう。しかし、その時には今のような笑顔は見せなくなるに違いない。俺は、それを見たくはない。
「俺は、お前が、嫌いだ」
その輝くような穢れのなさが。自分の奥底の澱みを照らすような光が。そして、そのお日様のような笑顔は、いつかきっと曇ってしまうだろうから。
「そうか。私は佐吉の事が好きだがな」
言いながら、まじまじと俺の顔を見つめてきた。
「……なんだ?」
「いや、佐吉は綺麗な顔をしているな、と思ってな」
「ふん、言われ慣れている」
俺が鼻を鳴らすと、与六は溜息を吐いて俺の顔に手をかけた。
「なにをする!?」
与六は俺の言葉を聞きもせず、じっと俺の顔を凝視する。
「本当に綺麗だ。この遊郭の一等の花魁よりも綺麗だ。佐吉が花魁になれば、凄い事になるだろうな」
「俺は花魁にはならん。秀吉様の補佐をして、遊郭の経営をするのだ」
「もったいないなぁ。じゃあ、ん」
急に、与六の顔が近づいてきた。
「んぅ!」
口唇に触れる温かく柔らかい感触。ふにゅ、としたそれは、すぐに離れた。
「……なにを!」
どん、と与六を突き飛ばすと、与六はけらけらと笑った。
「どうせ男に抱かれる身だ。初めての口吸いは、お前みたいな綺麗な男がよかった。娼妓は、唇は好きな相手の為に取っておく、とよく言うだろう?でも分からないじゃないか。なにが起きるかなんて。だから、此処で一番綺麗で好きだと思うお前に先に貰われたかったのだ」
「なにを……馬鹿な……」
俺は頬が赤くなっているのを自覚した。与六なんて、嫌いなのに。嫌悪感はまったく湧いてこなかった。
「俺だって、初めてだったのだぞ!」
「そうなのか?じゃあ、初めて同士だな!」
なにがそんなに嬉しいのか、与六はきゃっきゃと喜んだ。
「なにがそんなに可笑しい?」
「佐吉はてっきり、初めての口吸いは終わらせているものだと思っていた。いや、破瓜も既に済ませているのだとばかり……」
「ば、馬鹿!俺は男色家ではない!」
「私もだよ」
与六は透明な、透き通る様な瞳で俺を見つめた。綺麗だ、と思った。
「怖いよ、佐吉。怖い。水揚げの日取りが決まった。私の初仕事の日が迫ってきている」
「お前……」
「怖いよう、佐吉」
与六は、俺に縋りついた。泣く事はなかった。ただ、どうしようもなく震えていて、その背中がどうしようもなく小さく見えた。
抱きついてくる与六を、俺は抱き締め返す事はしなかった。情が移ってしまっては終りだからだ。あくまで嫌いで通さねばならない。この哀れな子供に、情けをかけてはいけない。
それなのに。
「……佐吉、泣いてるのか?」
「……俺は、泣いて、ない」
ぼた、ぼた、
俺の顔を覗き込んでくる与六の着物に、涙で染みができていた。
「お前が、泣きたいのに泣かないから。だから、俺の目から代わりに出てくるだけだ」
「はは……佐吉は優しいなぁ」
ぎゅぅ、と与六は俺を抱き締める。震えはもう止まっていた。
「ありがとう。お前がいてくれてよかった」
「……馬鹿」
「うん」
「馬鹿……」
透明なお日様の光は、曇ってしまうのだろうか。そんな物は見たくない。俺は、それが怖くて、またぽろりと涙の雫を零した。



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