日記というか。

……まあ、日記です。同人向注意。

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花散らしの雨 4

精神科に通う兼続と幸村のひっどい話が書きたいです。
こんにちは成です。胃が痛いです。酷い話です。精神科の幸兼は次の新刊か連載です。胃が痛いです。
その前に花格子を全て終わらせたいです。うおぉ~早く終われ~!








「秀吉。こいつを預かってくれ」
或る日、孫市が秀吉の家に連れてきたのは、一人の少年だった。
「なんじゃい、藪から棒に」
そう言いながら玄関口に立つ秀吉は抜け目なく少年を観察した。まだ幼い。垢染みていて薄汚れた貧乏そうな身なりだが、真っ直ぐに前を向いた顔は輝く様な美貌だった。髪は、黒く艶やかで長い。口唇が、濡れた様に紅い。双眸は知的な光に満ちていた。
これは高く売れる。そう秀吉は値踏みした。男遊郭等を経営している秀吉は、人に値段を付けるのが得意だった。この目の前の子供は、それはもう高価な商品になりえた。
だが。
「孫市。お前、いつから男に乗り換えた?」
孫市はその言葉を聞いて眉を顰めて手を振った。
「よせやい。そんなんじゃない」
孫市は女衒をしている秀吉の友人だった。女が好きで、これでもかという位に女が好きで堪らなくて、それで女を売り買いするようになった男だ。売られる女というものは、攫われたか、貧しい百姓の親に二束三文で売られたか、碌な人生を歩んできてはいない。孫市はその彼女等の身の上話を聞くにつれて、「どうせなら、高給取りで条件良く働けるように」と、自ら進んで女衒の世界に身を寄せた変わり者だった。
秀吉は女が好きだ。それなのに男遊郭を営んでいる変わり者だ。変わり者同士、二人はよく気が合った。
だから、孫市が連れてくるのなら女であるはずだ。男を売り買いする趣味は、孫市にはない。
「まあ、聞けよ秀吉。酷え話だぜ」
孫市は肩を竦めた。
「越後に行った時の事だ。俺は収穫がなくって女にも振られてそこいらをぶらぶらしていた」
「お前が女に振られるなんて、よくある話じゃろ」
「いいから茶化さずに聞けよ。そこで、こいつがてくてくと歩いてきたのさ。気の良い俺は迷子かと心配になって話しかけてやった。そしたらこいつ、なんと言ったと思う?言うに事欠いて『自分を買ってくれ』と言い出したんだ」
「それは、また」
秀吉は息を呑んだ。
「親が子を売るならまだ分かるさ。よくある話さ。だが、こいつは自分から身を売った。こいつ、幾つだと思う?年端もいかない餓鬼んちょだぜ。それが、自分から金で身を売ると。酷い話じゃないか。全く酷い話だ」
「それで、お前は買ったんじゃな?」
孫市は一呼吸息を吸い込んで、吐き捨てるように言った。
「買ったよ。言い値よりも高くな。こいつの親ん所に金を押し付けに行ってやったよ。襤褸雑巾みたいな格好の奴が出てきて、泣いてこいつを抱き締めながら、それでも金を受け取ったよ。嫁さんは腹をでっかく膨らませてたな」
「妹が、」
「ん?」
「妹が産まれるんです」
少年は、にっこりと微笑んで言った。凛、と澄んだ声だった。
「弟はいるから、次は妹がいいなぁ、って話を母上としていたんです。だから、次はきっと妹が生まれるんです。妹を産む母上はご飯を食べなきゃ駄目だから、だから、私は、いいんです」
秀吉は少年の目を見て言った。
「お前さん、もう産まれてくる妹には会えんぞ。弟にも、母者にも父者にも。それでええんか」
「……いいんです」
大きく見開いた眼から、ほろりと一筋の涙が零れ落ちた。その涙は素直に綺麗だ、と思えた。
「お前さん、名前は」
「与六です」
「与六、か。儂は秀吉じゃ。今日から宜しくな、与六」
「……はい!」
「誰か!誰かおらんか!はよう与六を案内してやってくれ!」
秀吉が奥に声をかけると、ばたばたと足音が響いた。その方に与六を押しやると、秀吉は孫市をそっと招き寄せた。
「孫市。与六は高く買ったか?」
「高かったぜ」
「そうか。もっと高い方がええ。今度越後に寄る時にでも、追加で家に金を払ってやれ」
秀吉の気前の良い話し振りに孫市は訝しげな視線を遣った。その視線に秀吉は笑顔で答えた。
「何。与六の様な子は、人の為に働く。親の為、兄弟の為、友の為。だから、足枷は多ければ多い程ええ。しっかり繋いで働かせりゃ、あれは値段以上に金を生む。ただそれだけの話じゃ」
「……怖ぇ男だよ、お前は」
孫市の心底厭そうな言葉に、秀吉は快活に笑って肩を叩いて与六の背中を追った。
「佐吉!そうじゃ、佐吉はおるか!今日からお前達の仲間になる、与六じゃ!」

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