日記というか。

……まあ、日記です。同人向注意。

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花散らしの雨 5

花散らしの雨、完結でっす!三兼書くの楽しいですよね!友達以上恋人未満ってのがね!
これで花格子編は裏幸兼初夜を残す所となりました!
初夜……うん……頑張って書くよ……






俺はわなわなと身体が震えてくるのが止められなかった。
酷い。こんな酷い過去を持って、こいつは此処に来たのか。
帰る場などとうにない。自分から捨てたのだ、こいつは。
「取るに足らない出来事でございます。よくある話のひとつです」
そう言って与六は笑うが、俺にはそうは思えなかった。大切な、友人の酷い過去等、もはや他人事ではすまされない。
「秀吉様!」
「なんじゃ、佐吉」
「此処を、与六の帰る場所にしてやってはくれませぬか!?」
「最初からそのつもりじゃて」
「そうではなく、水揚げ等させず、家族の一員として扱っていただきたいのです」
秀吉様の眉がぴくりと動いた。
「そりゃ、どういうつもりじゃ? 与六は男遊女。それだけは変えられん話じゃ」
「だから! 私が与六を買います!」
沈黙がしばし流れる。秀吉様は値踏みするような目で俺を見た。
「お前には金がない。諦めるんじゃな」
「俺を売ります」
「おい、佐吉!?」
与六が口を挟むのを無視して、俺は捲くし立てる。
「俺は与六より綺麗です。高く売れる。与六を買う代償として十分な価値がある」
「駄目じゃ、駄目じゃ! なんちゅう事言うんじゃ! お前は儂の大事な跡取りじゃぞ!」
「それでもです。友の為なら、この身一つ惜しむ事がありましょうか」
頑として言い放つ俺に、与六は目を潤ませて……
いきなり抱きついてきた。
「佐吉! 佐吉! 愛している! だからこそ私に行かせてくれ! 大事な友を犠牲にこの身を助ける等、私にはできない!」
「それは俺も同じ事だ」
「佐吉……」
涙を流しながら、与六は俺の唇に唇を押し当てた。
「かぁ~! やってられんわ!」
秀吉様の嘆く声に重なって、ぱちぱち……と拍手が聞こえた。
「佐吉君、言う時は言うじゃ~ん?」
「美少年同士の愛とは、眼福眼福」
「友愛、感涙の極みなり」
なんか感動されている。これは好機だ。
「信玄様。どうか、与六を救ってやってくださいませぬか?」
「ん~? 今日は儂、堅物の謙信に花を拝ませてやろうと来たのじゃが……謙信よ、そなたはどう思う」
「無理強いはできまい」
謙信と呼ばれた青白い顔の男が答えた。
「ま、という訳で今日の所は美少年同士の絡みで酒を呑むことにするよ」
「感謝致します」
「どう致しまして。しかし、今後はどうするね。今日は与六ちゃんの水揚げはなしにするとしても、それこそ買いあげないと避けられない話じゃよ?」
顎に手を当てて、信玄は考える素振りを見せた。
「はいは~い! 俺から提案があります!」
半兵衛殿が手をあげた。
「なんじゃい、半兵衛。なんか打開策でもあるんかい」
秀吉様が不貞腐れた様な声で尋ねた。
「ん~。ここはやっぱ、ひとつ、佐吉君を売っちゃおう」
「おい半兵衛! 佐吉は駄目だと言うておるじゃろうが!」
「そんで~、水揚げなしで花魁にしちゃうんだよ。そんで、目通りは三十回! これなら酔狂な男が買うかもしれないし、それでも三十回なんて最後まで辿り着く男は皆無。こんなんでどう?」
「ん~……う~む……しかし、佐吉は大事な儂の養子で……花魁なんぞ……」
「秀吉様、お願い致します」
悩む秀吉様に、俺は頭をさげた。
「与六ぅ、おぬしはどう思っているんじゃ?」
「私ですか? 私は……」








「また、文等見ているのか?」
「ん? 謙信公が越後に酒を買いに寄られた際に新しい文を私の実家から預かってきて下さってな。ふふ、妹がおてんばに育って仕方がないそうだ。故郷からの手紙は何度見ても飽きないよ」
花魁姿の俺は、兼続に話しかけた。兼続は遣り手の仕事をこなしながら、聚楽第に居座っている。借金は俺が全て帳消しにした、というのに、だ。
「長く掛かったが、お前も今は自由の身だ。故郷に帰ればいいのに」
「三成が居る所が私の故郷だ。私はお前に買われたのだから、お前の物だ」
「その俺が、好きにしろと言っている」
「今はまだ、お前の側に居たい。駄目か?」
「……駄目とは言っていない」
ぷい、とそっぽを向くと、兼続が顔を近づけてきた。
「なんだ?」
「いや、久し振りにしないか?」
「なんで」
「いいじゃないか」
そう言って、更に顔を近づけてきた。触れるだけの接吻。なんだか妙な、俺と兼続だけの友の証。
「……ふふっ」
「なんだ、変な笑い方をして」
「いやなに。いつか、お前以外とこうした事をするようになるのかな、と思うと可笑しくてな」
「妬けるな」
「おお、怖い怖い」
兼続はけらけらと笑った。
「その時こそ、お前から離れる時なのだろうな」
「ふん。清々する」
「本当は寂しいのだろう?」
「……少しだけ、な」
「あはは!」
兼続が大声で笑うのが、空しく廊下に響き渡った。
「安心しろ。そんな日は来ないよ。お前以上に愛する者等……」
兼続は、遠い目をした。
「私とお前、二人居れば、それでいい」
本当にそう思っているのか。それならば、何故、そんなに哀しそうに言うのか。
俺は願った。『この男に、愛する者をくれてやってくれ』と。



兼続と幸村が出会う、その少し前の話だった。

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