日記というか。

……まあ、日記です。同人向注意。

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僕らの聖杯戦争11

信稲末永く結婚しろ。
左近ちゃんはいつも苦労人です。



原稿は進んでいません。





「あ、お取り込み中でしたか。すみませんでした」
玄関先には、にこやかに頭をさげた二人組がいた。
「……おや、これは奇遇で」
左近は、片方の女性に見覚えがあった。きり、とした目で見返す女性。
「島左近。貴方とは関ヶ原での因縁がありますが、今日は稲は戦いに参った訳ではありません」
「今日は、信玄公にお目通り願いたく……」
男性の方が、そのぎすぎずとした雰囲気を柔らかく粉砕するように発言した。爽やかで、柔和な人柄が滲み出ている声だった。
「おや。誰かと思えば信之君じゃないかのう」
「信之? 真田信之の事ですか?」
確か、信玄から『謀反を起こした家のマスター』として聞いていた、あの信之か。
信之は右手の甲を晒した。そこには確かに、令呪が宿っていた。
「本日参りましたのは、他でもありません」
信之は少し声を止め、稲の方を見て、言葉を続けた。
「私、真田信之は、アーチャーの稲と結婚する事にしました」




玄関先で話し込むのもなんなので、まだ無事な和室の一つに通された信之と稲。
左近は訳が分からなかった。どうして『サーヴァントと結婚する』などという発想が思いつくのか。
「まずは、父の成した無礼。深くお詫び申し上げます」
深々と信之は頭をさげた。
「まあ、許しちゃうよ。頭あげていいよ」
「寛大なお言葉、ありがたく」
信之は晴れやかな表情で顔をあげた。そして、言葉を続けた。
「そして、結婚の件なのですが。主家の当主である信玄公に、結婚の仲人をお願い致したく参りました」
「うん。まあ、いいよ。めでたい事じゃしの」
「ありがとうございます! よかったな、稲」
「はい。信之様」
頬を染めて身を寄せ合う二人を見て、微妙な気持ちになる左近。聖杯戦争中に、なにをやっているのだ、この二人は。しかし、まあ、微笑ましい光景ではある。
「もうひとつ。用件がございます」
今度は真面目な顔つきになった信之。少し緊張しているのだろうか。手が少し震えている。それでも真っ直ぐに視線をやってくる信之に、信之の気骨を感じた。
「真田信之と、武田信玄の同盟について」
「ほう……? 詳しく話を聞かせてもらおうかのう」
「はい」
そして、信之は事情を話し始めた。
「そもそも、我が真田家は、あの大坂の陣で『日本一の兵』と謳われた、真田幸村の子孫にあたります。それが、伊達政宗とかいうガキ……失礼。少年が、真田幸村の聖遺物を手に入れたという情報が入りました。十中八九、伊達政宗は真田幸村をサーヴァントとして召喚した事でしょう。真田家は誇り高き武士の家系。その原点である真田幸村が、たかが一人の少年に使役されている等とは、我が家の恥。汚点以外の何物でもない。そう父は申しております。故に、真田家は伊達政宗を排除する事を最優先事項と考えております。武田家から独立するよりも、です」
そこで、信之は言葉を切った。震えているのは、緊張のせいだけではない、と左近は見て取った。屈辱。その感情が信之の心中を駆け巡っている。
信玄は、面白そうにそれを眺めている。
「つまり……真田家は武田家の傘下にくだる、と?」
「……はい。ただし、条件があります」
「言わずともよい。伊達政宗の排除じゃな?」
「はい。その通りです。そして結婚の件ですが……」
「そちらも飲もう。儂が聖杯を手に入れた暁には、稲ちゃんの受肉を約束しよう」
「恐れ入ります」
信之は深々と頭をさげた。稲は、少し膨れっ面をしているが、同じく頭をさげた。
「聞いたぞ!」
すっぱーん!
勢いよく襖を開けて颯爽と兼続が登場した。
「この直江兼続が、二人を祝福しよう!」
ぐっ、と握り拳に力を込めて、兼続は叫んだ。
「今日は祝いの宴を催しましょう! 如何ですか、謙信公?」
「愉悦」
兼続の後ろに立っていた謙信は、無表情で頷いた。
「よし! ならば、壊れた部屋の修復と酒の調達は私に任せるがいい! 左近は肴の手配を頼む!」
「あ。はい……戦闘はいいんですか?」
「酒あるのみ」
「そのような無粋な発言は控えていただこう! 愛する二人の晴れの日に、血腥い話等不要と、謙信公は仰せられている!」
「あ……はい……いいんなら、今日はいいです……」
本来なら同盟が成立した以上、キャスターである兼続がこれ以上魔力を蓄積しないうちに倒しておきたいところだが、左近はなんだか色々疲れていたので、今日はもう頑張らない事にした。
兼続が懐の札をばら撒くと、壊れた家がぱきぱきと音を立てて修復されていく。更に別の札を宙に舞わせると、空中から酒樽と盃がどーん、と現れた。
「じゃあ、未来ある若い二人にかんぱーい」
「天も嘉し賜うぞ」
早速酒樽を開けて、飲み始める信玄と謙信。
「ありがとうございます。いや~、なんだか照れますね」
「稲は……稲は、幸せです……」
真田の二人は、手を取り合って見つめ合っている。
「いやあ、めでたい! なあ、左近!」
「ソウデスネー」
ばんばん! と兼続に肩を叩かれた左近は、棒読みで兼続の言葉に答えた。
疲れた。
左近は寝たくなってきた。英霊なので睡眠は必要としない身体のはずなのだが、温かい布団に潜り込んで、なにもかも忘れて眠りたくなってきた。

まだ、聖杯戦争は始まったばかりである。

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