日記というか。

……まあ、日記です。同人向注意。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕らの聖杯戦争15

お久し振りです。

夏コミも行かずにバテてしんでいました。成です。
ようやく幸兼ですよ! まったく! この作者なにやってんの!

久し振りの更新です。どうぞ~。



 その日は、朝から雨が降っていた。

 静かな雨だった。雫が柔らかく全ての輪郭を淡くけぶらせる。あの世とこの世の境目まで見失ってしまいそうだ。
 兼続は、聖杯の器の乙女を探しに出かけようと、和服に番傘を持って、寺の門を出ようとした。
 階段の中腹に、男がいた。
 雨に濡れるのも厭わず、兼続が来るであろうことを予想していたかのように、その男は、兼続の姿を見るなり、にっこりと笑った。
 日焼けした精悍な顔立ち。優しくもどこかこの世以外の物を真っ直ぐに見つめる眼差し。戦うためにあるような体格。現代の服装に身を包んでいても、見誤ることなどない。
「幸村……」
 兼続が、ぽつりと口から零した名前に、幸村は嬉しげに答えた。
「はい。お久し振りです、兼続殿!」
 主人を待つ濡れた忠犬のように立っている幸村を、兼続は溜め息をついて近寄っていった。
 ぱさり。
 傘を差し向ける。男二人には小さすぎる傘だ。自然と密着する。少しだけ、兼続よりも背の高い幸村は、傘を受け取って兼続が濡れないように傘を差す。
「私のことはいい」
「いえ、私の方こそ、もう濡れていますので!」
 真顔で言う幸村に、兼続は真顔で話しかける。
「寺に寄って行ったらどうだ。そのままでは風邪をひく」
「いえ、結界内には立ち入らないように、とのマスターのご命令です」
(ああ、そうだ。聖杯戦争の最中だったのだ)
 なんて、兼続はふと今の状況を思い出す。いつも通りのやりとりだったので、そんな基本のことまで忘れてしまっていた。
「幸村。なにをしに、敵陣へ?」
「貴方へ、宣戦布告をしに」
 真っ直ぐに目を向け、幸村は言った。
「『三度びお会いして、
四度目の逢瀬は恋になります。
死なねばなりません。
それでもお会いしたいと思うのです。』
……こちらへ来て教わった、戯曲の言葉です。私は貴方に恋をしている。けれども、戦わなければならない」
「そうだな。いくさは戦わなければいけない」
「その通りです。我らは、既に死地へといるのです」
 幸村は、自然に笑っていた。息をするように戦う男だから。だからこそ、好きになった男だから。
 ほう、と兼続は溜め息をついた。
「……私はいくさが嫌いだ」
「はい」
「……手加減は、しない」
「はい」
 幸村は、それが甘い睦言であるかのように、頬を染めて頷いた。
「それでは、兼続殿。悔いのないいくさをいたしましょう。御免!」
 幸村は、傘を兼続に押し付けると、さっと兼続の髪に触れるだけのキスを落として走り去った。
 ぼんやりとそれを見送る兼続は、空を見上げ、ぽつりと呟いた。
「……これは、さきがけ。いずれ嵐が来る」
 戦乱と混沌と死の嵐が。

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

成成

Author:成成

最近の記事

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。